縫製チームが語る "1ミリ" の誇り
社長×縫製スタッフ


―立体を縫う現場から、未来をつくる

ジュトクの中核技術であるヘッドウェア縫製。今回は、縫製部門を束ねるHさん(勤続7年)、建築業界から転身したFさん(入社2年目)、未経験で飛び込んだMさん入社3か月目)の3名と、代表取締役・上村哲司が "縫う" 仕事の醍醐味とこれからの挑戦を語り合いました。社長の歴史観と現場のリアルが交差する50分。そこに浮かび上がったのは、「1ミリの精度」がつくり出す日本のものづくりの未来だった。

1 なぜ縫製の世界へ? - それぞれのスタートライン                 

上村社長:
まずは "縫う" 仕事に挑戦しようと思ったきっかけを教えてください。

Hさん:
もともと在宅の内職でポロシャツなどのたたみ・袋入れや検品をしていたのですが、会社から「ミシンをやってみないか?」と声をかけてもらったのがきっかけです。手を動かす仕事が好きだったので、思い切ってやってみようと挑戦しました。その後、在宅の内職からジュトクへ就職、パート、社員と家庭環境の変化と共に変わっていきました。気づけば7年、現在は製造部のリーダーですが、毎日が発見です。

Fさん:
私は前職が建築士。図面を描くだけでなく「自分の手で形にしたい」と思っていました。子どもの入園グッズを作ったとき "布から立体が生まれる感動" を味わい、未経験でも飛び込もうと決意しました。 

Mさん:
細かい作業が好きで、求人サイトで「帽子をつくる会社」と知った瞬間に惹かれました。クルマのシートなど大型縫製の募集も見ましたが、「人が身に付ける立体物」に挑戦したかったのです。  

2 "1ミリ" に込めた技術と楽しさ -      
               立体を縫う難しさ        

上村社長:
実際に立体を縫ってみて、難しさとやりがいは? 

Hさん:
一番はカーブですね。素材ごとに引っぱり具合が違い、同じ型紙でも縫い方が変わります。ただ、工程をチームでリレーして納期に間に合った瞬間の達成感は格別です。  

Fさん:
品質とスピードの両立が課題です。1ミリを攻める精度を保ちながら、生産効率も上げる。まだ試行錯誤中ですが、技術が上達していく実感がやみつきになります。  

Mさん:
工業用ミシンは糸掛けから戸惑いました。しかも生地が変われば縫い代の取り方も変わる。けれど裁断から完成まで一通り触れ、自分の手で帽子が立ち上がる瞬間が本当に楽しいです。  

上村社長:
立体縫製はAIやロボットでも代替が難しい。だからこそ "人間の仕事" が磨かれます。1ミリを突き詰める精度が、ジュトクらしさですね。

3 国産比率 1.5%の衝撃 -
   Made in Japan を守るために・・・                  

上村社長:
国内縫製比率が 1990 年代の 50%から、今や 1.5%に落ち込んだデータをどう受け止めましたか?

Hさん:
正直ショックでした。海外で人気の "メイドインジャパン" がそこまで減っていたなんて、だからこそ縫製人口を増やし、内職から正社員へと道を拓くロールモデルをつくりたいです。  

Fさん:
希少であるがゆえに伸びしろがあるとも感じました。私たちにしかできない技術を "希少価値" から "必要不可欠" に変えたいですね。

Mさん:
日本製の洋服を探すのが難しい現状は寂しいです。器用な日本人の手仕事を活かす場を取り戻したい。その最前線に関われるのは貴重だと感じています。  

上村社長:
過去には大手メーカーの作業用帽子を製造していましたが、値下げ要求の連続で、交渉も相なく限界を悟りました。そこで価格競争から撤退し、「欲しい」と言われる価値創造型へ転換した。メイドインジャパンを支えるのは "安さ" ではなく "価値" だと思ったからです。  

4 当たり前に価値を足す - ユニクロ流発想とジュトクの挑戦 

上村社長:
ユニクロのAIRismは「Tシャツは汗でベタつく」という無意識の不満に機能を追加し、消費者に気づきを与え、市場を一変させました。ジュトクも同じ。帽子や作業ウェアという "誰もが知る当たり前" に、新しい快適性や安全性を乗せることで、お客様が「それが欲しい」と感じる商品へ昇華させます。

Hさん:
一貫生産だから、縫いながら改良案を即時に共有できます。小さな改善が大きな価値につながるはずです。

Fさん: 
ジュトクのオリジナル製品の「Newセミフード」「BREEZE DUCT」など、既に新価値商品が生まれています。さらに寄与できるよう技術を磨きます。  

Mさん: 
まずは現場を覚え、いずれは自分のアイデアで "当たり前+α" を提案できる人になりたいです。 

5 製販一体×DX - 点在する生産力をつなぐ  

上村社長: 
ジュトクの強みは、製造・印刷・物流・営業が同じ屋根の下にある「製販一体」。これに加え、生産 DX として国内に点在する内職・協力工場をネットワーク化し、海外に負けない小回り生産体制を築こうとしています。オンライン会議や動画マニュアルを使えば、豊橋と東京、大阪、福岡などが瞬時につながる。品質も納期も "国産の強み" を生かしながら拡張する仕組みに取り組んでいます。


Hさん:
営業と製造がもっと気軽に往来できる動線やオンライン窓口が増えれば、リードタイムも短縮できますね。

Fさん:
裁断機やミシンの最新モデルも扱えるよう勉強し、ネットワーク先の技術支援もできるエンジニアを目指します。

Mさん:
ジュトクはミーティングが多く情報共有やアイデアをすぐに話し合える環境がありがたいです。DX で距離が縮まるのを楽しみにしています。 

6 私たちが描く「これから」 - 技術、環境、そしてお客様   

Hさん:
まずは自分が知識と技術を蓄え、後輩へ広げる「橋渡し役」になりたい。楽しい時は楽しく、集中する時は集中するメリハリある現場づくりが目標です。  

Fさん: 
どんな素材でも正確に縫える "万能プレーヤー" へ。課題解決型の提案もできる縫製者を目指します。

Mさん: 
高品質を当たり前に実現し、自分の帽子でお客様を笑顔にすること。それが今の一番の夢です。  

上村社長: 
経営の責任は "良い環境を整える" こと。ハード(建物・設備)とソフト(DX・コミュニケーション)の両面で、皆さんが最大限パフォーマンスを発揮できる舞台を用意します。そのための利益は、その投資資源。価値ある商品で市場に応え、夢の実現スピードを上げましょう。  

7 社長メッセージ - 100年企業へ、ともに歩む  

上村社長: 
メイドインジャパンの価値は「価格」や「品質」だけではなく「誠実な技術」。1ミリを積み重ねる皆さんの手仕事が、世界に誇れる日本のものづくりを支えます。  
私の役目は、その技術が存分に輝くステージをつくること。製販一体の強みと DX を掛け合わせ、豊橋から未来標準を発信しましょう。100年企業への道のりを、共に拓いていけることを誇りに思います。  

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それぞれの言葉には、「1ミリの誇り」を胸に未来を織り上げる覚悟が込められていた。縫製の現場から始まる価値創造は、いま確かにジュトクの次の 10 年を動かし始めている。